登山を趣味としていたら、誰もが憧れる山。それは剱岳!
岩と雪の殿堂と言われる剱岳は、一般登山道としては最高難度クラスのトレイルです。
「初心者ですが、剱岳に登れますか?」
こんな質問を、よく見かけます。
「初心者でも登れますよ~(*ˊᵕˋ*)੭」
こんな回答もよく見かけます(;´༎ຶД༎ຶ`)
「あくまで一般道だから」「登ってみたら意外と簡単だった」「カニのタテバイ、カニのヨコバイは、アノ山が登れたら楽勝だよー」とか。
これは初心を忘れた上級者が言っているか、たまたま無事に戻ってきた初心者が言っているだけです。信用してはいけません。
目次
剱岳はここが難しい
休む間もない緊張の連続
剱岳と言えば別山尾根ルート。
一服劒~前劒を経て、有名なカニのタテバイを登ります。下りは恐怖のカニのヨコバイ。
別山尾根ルートは、一般登山道としては最高難度の山であると言われています。ルートの往復で13もの鎖場が!
とはいうものの…
鎖場や岩場などを一つ一つ見てみると、「とてもじゃないけど一般人には登れない場所」はありません。落ちたら死ぬような場所は沢山ありますが、「岩場は三点支持を意識して登れば、鎖場は鎖をしっかりつかんで足場を確保すれば登れるよね」というレベルです。
剱岳の難易度が高いと言われるのは、そういった難所が途切れなく続くからです。
普通の山では、せいぜい1~2箇所の難所が、剱岳では5時間以上連続しているのです。
落ちたらまず助からない場所を、5時間以上、よじ登り、這いまわるのです。
皆さんは5時間以上の緊張状態に耐えられますか?これは初心者じゃなくても厳しいですよ。
余裕だった?それは違います。岩場に、鎖場に慣れきって、舐めてきて、感覚が雑になっていたのです。無事に帰れたのは運が良かったからです。
「初心者でも登れますよ~(*ˊᵕˋ*)੭」
自分が死ぬわけじゃないからできる回答です。信用してはいけません。
コースタイムの振れ幅が大きい
剣山荘からスタートして、剱岳に登頂し、再び戻ってくるまで、コースタイムは5時間50分です。
普段からコースタイム通りに歩けているからといって、剱岳もそうであるとは限りません。岩場や鎖場に慣れていない人にとっては、普段の登山とは全くジャンルの違う山です。当然通過に時間がかかります。
また、そういった難所は、一人ずつクリアするのが基本です。
剱岳のような人気の山は週末に登山者が詰めかけます。登山者が多いと、それだけ待ち時間が長くなります。
コースタイムが、倍の10時間近くかかることもありえる話です。10時間かかるとして、朝8時に出発したら、帰ってくるのは18時です。あたりは闇です。
日も暮れて、あたりは真っ暗になった劒澤小屋から剱岳を見ると、ヘッドライトの光が。まだ歩いている人が…。どうやら、暗くなって降りられなくなった登山者を剣山荘のスタッフが救出に行ったようでした。すごく迷惑!しかもご飯時!
トイレがない
下山時にトイレのような建物があったような気がしますが…。
トイレは無い。そう思っておいた方が良いでしょう。
そして、ルート上に身を隠せる場所はありません。
万が一もよおしたとしても、できる場所はありません。
最悪の場合、登山道のど真ん中で堂々とするしか…。
我々は見た。デッカイう〇ちを。
それでも剱岳に登るなら
剱岳に登るなら、岩場や鎖場の経験を積まないといけません。また、数日の山行に耐えられる体力が必要です(剱岳一番近い剣山荘にたどり着くまで丸一日かかります)。
少なくとも、山登り一年生が登る山ではありません。
装備をしっかり整えて、リサーチして、経験者に話を聞いて。考えられる限りの準備をしてから挑みましょう。
手袋は必須
鎖をつかみ岩をよじ登る場面が多いので、手袋は必須です。鎖をつかむ場面が多いので、素手で登ると手がボロボロになりますよ。岩に手をつくことも多いですし、ケガ防止のためにも持って行きましょう。
ぼくは綿手袋の上に指なし手袋を重ねて登りました。綿手袋は、小指以外、穴が開きました。それくらいの負荷がかかります。
ヘルメットも必須
自分のほぼ真上を他の登山者が登っている、というシチュエーションはよくあります。
先行の登山者の落石を頭に食らうとジ・エンド。
剣山荘でレンタルもできますが、やはり自前で用意する方が良いでしょう。
ガレ場にザレ場、浮石も多いです。転んで頭をぶつけたら大惨事です。必ず持っていきましょう。
暖かい飲み物を持っていく
剱岳は、ほぼ3000メートルの山ですから、単純に考えても18℃は気温が低い計算になります。
風が吹けば体感温度はかなり低くなります。ルート上は常に風にさらされるので、体がめちゃくちゃ冷えます。
そんなとき、暖かい飲み物は最高のご馳走です。
お湯を沸かすのも難しい場所(なにより億劫)なので、サーモスの山専ボトルなどで暖かい飲み物を持っていきたいところです。
疲れていても食べられるものを
ほとんど崖登りのような登山ですから、かなり体力を消耗します。そういうときは、胃腸が食べ物を受け付けません。ゼリー飲料などは重たいですが、食欲がなくても食べやすいので重宝します。ゼリーではなくても、疲れていても食べられる好物ならオッケーです。
レインウェアよりハードシェル
岩場に体をこすることが多いため、レインウェアでは破れたり穴が開いたりします。剱岳では、生地の丈夫なハードシェルを持っていきましょう。強い風が吹くこともありますので、そういった意味でも風でバタつかないハードシェルがおすすめです。
ザックは重量を減らしてしっかり絞る
なるべく重量は軽くした方が良いです。水分は2リットル・雨具・防寒着・行動食などを忘れずに。容量の減ったザックは中で荷物が動くので、しっかり絞って動かないようにしておきます。
一眼レフカメラはあきらめる
カメラを首から下げるのは危険ですし、慎重に登っても岩にカメラがぶつかります。カメラの傷を気にしてザックから出し入れするのも面倒です。潔く一眼レフカメラはあきらめましょう。コンパクトデジカメか、スマートフォンのカメラで我慢しましょう。
どのみち、途中でゆっくり撮影する余裕はありません…。
まとめ
登山をはじめたら、いつかは登りたい剱岳。
いろんな山で経験を積んでからでも遅くはありません。焦らず慌てずじっくり取り組んでいきましょう。
yunaさんの剱岳レポートも、ぜひお読みくださいね。
皆様の旅のご無事を祈っております。それでは!
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