突然ですが、登山中にうんちを漏らしたことはありますか。僕はありまぁす!
クソまみれの登山in硫黄岳。
いや、まみれるほどじゃないけど。パンツが汚れたくらいだけど。
先日、栗駒山に登った際も、山頂付近で強烈な便意に襲われました。
泣く泣く登頂を諦めて緊急下山したのでした。ぼくはお腹が弱いのです。
突然の恥ずかしい告白、大変申し訳ございません。
しかし、登山を続けていれば誰にでも起こり得るトイレ問題。
山でトイレに行きたくなったら、どうしたら良いか考えてますか?
目次
持ち出さない、持ち込まない
まず基本的な考え方として、山には「持ち出さない、持ち込まない」という暗黙のルールがあります。
「持ち出さない」というのは、山から植物や鉱物を持ち出さないということ。山にあるものを持って帰ってはいけないということですね。
「持ち込まない」というのは、山へゴミや、その山にはない動植物を置いていかないということ。もともと山には存在しないものを置いてくるなということです。
要するに、登山の前と後で山に変化があってはいけないということです。
山ではありませんが、日本の湖沼には存在していなかったブラックバスが、密放流によってあっという間にほぼ全国的に広がり、生態系に深刻な被害を与えているようです。
アメリカザリガニもそうですね。我々の世代でもザリガニといえば赤いアメリカザリガニですが、名前の通りアメリカ原産です。ブラックバスもアメリカザリガニも、日本に来てから100年経っていません。人為的に起こした、ちょっとした変化が、あっという間に大きく環境を変えてしまうことはよくあることなのです。
関連があるようでないような無駄話が、だいぶ違う方向へ進んでいます。
僕が言いたいのは、うんちやおしっこを山に置いてくるなということです。
たった一つのうんちが、環境を激変させるかもしれない…。たかがうんち、されどうんち。
環境への影響という意味では、おしっこよりもうんちの方が、かなり大きいのです。
出るものは、出る
とは言え、どう頑張っても生理現象ですから、出るものは出ます。
我慢しても、山小屋や下山に間に合わないという場面が来るかもしれません。
そんな時は、覚悟を決めて致すしかありません。
しかし、覚えておいていただきたいことがあります。
山の中に安全で平坦で、人の目に触れず、安心して快適に用を足せる場所は無いということです。

肛門殿!垂れましょう!

馬鹿野郎!垂れるったってどこで垂れるんだよ!
全然関係ないんですが、我が家では野糞のことを「のぐっちゃん」と呼んでいます。急にかわいい。
僕の話をします
ある山の中腹で、のぐっちゃんをする覚悟を決めた僕は、人目を避けられるような場所を探して彷徨っていました。
これがなかなか見つからない…。
探している間にも打ち寄せる便意の波。油汗びっしょりで半泣きなぼく。
数十分後、ようやく人目を避けられそうな茂みを見つけたのは良いのですが、今度は足元が不安定で、なかなか着陸態勢が整いません。
そんな場所でもなんとか姿勢を整えたのですが、最後の難関が待っていました。
枝葉が生い茂っているため、のぐっちゃんの投下予定地点に空間がないのです。
このままでは、のぐっちゃんが枝葉によってリバウンドされてしまい、自分が被害にあう可能性が大です。
しゃがんだ姿勢のまま、背中側から、お尻の下の空間に手を入れ、左右に広げて…
自分で何言ってるんだかわからなくなってきましたが、スキージャンプの着地なら確実に0点であろうという姿勢で致すことになったわけです。
さらに、携帯トイレ(おもらし事件以来、毎回ザックに入れていた)の位置決めも難しく、うまく投下できるのだろうかと…。ピンポイントな精密爆撃が要求されているのに、搭載されている爆弾はクラスター爆弾の予感。オスロ条約とは!?
…もういいですかこの話。
僕が言いたいのは、おしっこはともかく、うんちを山でするのは相当に難易度が高くてリスキーだということです。絶対しないほうがいいに決まっています。
野糞のルール
どうしても、するしかない、今!
そんな時がいつか来るかもしれません。僕は既に来ました。
次は皆さんの番です。
万が一、携帯トイレなどを持っていない場合、人として、山好きとして、山で致すにもルールがあります。
登山道から十分離れること
してはいけないこと。登山道にすること。
登山道で人間のうんちを見かけること、まれにあります(ティッシュ付きだったり…)
僕たち夫婦はうんちネタが大好きなので、見かけたらキャッキャします。
まぁ、普通の人は不快ですよね…。
剱岳からの下山時、一服劔と前劔の間の登山道で見かけたことがあります。
一体どういう気持ちで、ここでしたのだろうか…。
でも、登山道から外れたら非常に危険な場所なので、「ここでするしかないよね…」と思ったり。
携帯トイレを持っていれば、一番安全にのぐっちゃんができる場所は登山道です。羞恥心をすてることができれば、の話ですが。
登山道から離れる場合は、周囲の安全確認は確実にしておきましょう。足場はしっかりしているでしょうか。動物が潜んでいないでしょうか。
急所をさらけ出すのです。念には念を入れて。
水場から十分離れること
水が汚染されるからですね。
心無い登山者によって、湧き水や沢が汚染されて、飲めなくなってしまうこともあるのだとか。
岩場にはしないこと
これはもう見た目が悪い。あと、分解されにくいからですね。風化は早そうですが…。なるべく植物の生えているところでいたしましょう。
穴を掘って埋めること
10センチくらい掘って埋めるのが良いと言われています。土の中のバクテリアが活発な層が、10センチの深さにあるそうですよ。
ただし、スコップを持っているならともかく、素手で10センチの穴を掘るのは難しいですよ。畑じゃないんだから…。
トイレのためにスコップを持って行くなら、携帯トイレを持って行って、うんちを持ち帰るべきです。
お尻を拭いた紙は持ち帰る
うんちを埋めたとしても、お尻を拭いた紙だけは、必ず持って帰ってください。うんちは分解されますが、紙はなかなか分解されないのです。ティッシュやトイレットペーパーの繊維が溶け残って、とても見た目が悪いんです。
やっぱり山では絶対にしたくない
山でのトイレは、かなりキツイということがお分かりになったと思います。
やっぱり山ではしたくないと。僕は慣れましたけど僕もです。
おしっこなら水分コントロールで
おしっこなら、ある程度は水分コントロールで対応できます。
持って行く水分量を検討してみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
ただし、脱水症や熱中症には十分に気を付けてくださいね。
軽い便意なら、交感神経を刺激する
交感神経が優位になると、便意が無くなります。
逆に、リラックスしして副交感神経が優位になると、便意が強くなります。本屋に行くと、トイレに行きたくなるアレです。
運動をすると、交感神経が優位になるので、トイレが近いと感じたら、息が上がるくらいスピードを上げるのも手です。
下痢止め
下痢止めにもいろいろ種類があって、どれを選べばよいかわからないと思います。
登山中の下痢には、一番強力な下痢止めを使うべきです。
僕のお勧めは「トメダインコーワフィルム」です。
「トメダインコーワフィルム」の下痢止め成分は「ロペラミド塩酸塩」で、強力な下痢止め作用があります。
うんちを出そうと暴れまわる腸の蠕動運動を鎮め、また、腸内の水分量を調整してくれます。
フィルムタイプなので、場所を取らず、財布や化粧ポーチなどに、お守りとして入れやすいです。
そして、なんといっても効き目が早いという、素晴らしい下痢止めです。
…が、副作用で眠気やめまいが起こることがあります。
添付文書には、自動車の運転や機械類の操作を避けるようにとの注意書きが書いてあります。
本来は登山中に気軽に飲む医薬品ではありません。最終手段と心得てください。
※ストッパ等の他の下痢止めも同様です。
ただし、食あたり・食中毒が疑われるときは、使用しないでください。
強力な下痢止め作用が災いして、身体の外に毒素を排出できず、悪化する恐れがあります。
ただしいうんち習慣を
朝しっかりとうんちを出しておかねば、登山中に便意が襲ってきます。登山前はどうしても慌ただしく行動するので、時間が無くてトイレに行けないということが多くなりがちです。
普段から、朝ご飯を食べて、ゆっくりトイレに入るゆとりと習慣を持つことが大切です。朝ご飯を食べたらうんちが出ることが当たり前にしておきましょう。
ゆとりのある山行計画を立てて、朝ご飯をしっかり食べる時間と、ゆっくりトイレに入る時間を確保しておくことが本当に大事です。
まとめ
うんちもおしっこも、生理現象だから仕方がない、とは言うものの、対策はしっかり取っておきたいところです。
その上で出るものは仕方がありません。人間も自然の一部なのですから。
罪悪感と、羞恥心と、人としての誇りの中で、漏らしてしまう人が一人でも減ることを祈っております。
※ちなみにアイキャッチ画像はyunaさんですが、花を愛でているだけです。
なるほどと思いました。